債権者と専門家の交渉によって借金が減額できる「任意整理」について、メリットやデメリット、具体的にどれぐらい安くなるのかをまとめています。
任意整理とは、裁判所を介さずに行える債務整理の1つです。
具体的には、あなたにお金を貸している債権者と弁護士などの専門家が直接交渉を行うことで、今後かかる利息や遅延損害金をカットするための手続きです。
※遅延損害金とは、返済が遅れてしまった事による延滞金のようなもので、法外な利息がかかるケースが多いです。
交渉ですので必ず成功するわけでは無いですが、成功すれば今後の返済額を抑えられます。
債務整理の中で一番ハードルが低い手続きという事もあり、利用者は年間300~500万人もいると言われています。
〇将来分の利息や遅延損害金(返済が遅れて増えていた借金)を無くせる
⇒債務総額を減らせる
〇返済額を増やさずに3年間もしくは5年間に引き延ばせる
⇒1回あたりの返済額を抑えられる
〇官報に名前と住所が掲載されない
⇒家族や職場の人にバレにくい
※官報とは、国が発行する広報誌のようなもので、自己破産や個人再生を利用した時には名前と住所が掲載されます。
〇弁護士費用が比較的安い
⇒債務整理を依頼するにあたってハードルが低い
〇受任通知が送られる
⇒借金の取り立てや催促が来なくなる
〇どの借金を返すか選ぶことが出来る
⇒家や車のローンを継続すれば資産が残せる
〇職業や資格の制限を受けない
⇒弁護士や司法書士・保険外交員・古物商・警備員・宅地建物取引主任者などでも利用できる
任意整理のメリットとしては、ザっとこれくらいです。
受任通知は債務者(借金をしている人)の代理人として弁護士が入りますという通知で、どの債務整理をする場合も受任通知が送られます。
これが貸金業者などに送られた後は、直接取り立てされる心配が無くなります。
官報にも掲載されないので、家族や職場など周りの人にバレずに借金を減らせる便利な手段です。
また、ローンだけは継続して返済すれば家や車を取り上げられることもありませんから、任意整理したい債務だけ選択する事も可能です。
逆にローンも任意整理の対象にしてしまうと、家や車を手放さないといけません。
なので、債務整理をする時は現在の経済状況やローンの有無をしっかり弁護士と相談して、納得のいく形で進める必要があります。
利息や遅延損害金など元金以外の借金をカットしつつ、返済期間を延ばせれば1回あたりの返済額はかなり小さくなりますよ。
例えば、2社から年利15%で約190万円を借りていて、月々5万円返済しているケースを考えましょう。
これを任意整理して、交渉が上手く進めばこんなに安くなります。
任意整理なし | 任意整理あり | ||
---|---|---|---|
毎月の返済額 | 5万円 | 約2.5万円 | 約4.1万円 |
完済まで | 38か月 | 60か月 | 36か月 |
トータル返済額 | 約190万円 | 150万円 |
必ずこのようになるとは限りませんが、トータルで約40万円も借金が減ります。
ちなみに、任意整理にかかる弁護士費用の相場は、これぐらいです。
着手金:貸金業者など1件あたり4万円
報酬金:減額された借金×10%
なので、上のケースでは、
着手金:8万円(4万円×2社)
報酬金:4万円(190万円ー150万円)
となって、弁護士費用は合計約12万円です。
トータル返済額が安くなったのは約40万円で弁護士費用は12万円ですから、28万円も浮いた事になります。
これは、やらないと損ですよね。
〇信用情報機関に登録される
⇒5年程度はローンやクレジットカードの審査が通らない
〇保証人が要る場合は、保証人に請求がいく
⇒保証人に迷惑をかけたり信用を失ってしまう
↑
保証人がいる債務を任意整理の対象外にする事も可能!
〇交渉を受け入れない債権者もいる
⇒任意整理をしてもほとんど債務総額が変わらないケースもある
↑
債務整理に詳しい弁護士なら相談時点で判断出来る
デメリットとしては、大体この3つです。
信用情報機関に登録されると大体5年程度は審査が通りませんから、その間はしばらく辛抱が必要です。
これは債務整理をする上で避けられないデメリットと言えます。
また、担保や保証人付きの債務(借金)については、本当に任意整理で手続きしても問題ないかを確認しましょう。
任意整理しなければ、車を差し押さえられないし保証人にも迷惑はかかりませんが、その分返済額は減らないので注意してください。
任意整理の交渉をしても、ほとんど減額出来ないケースもあります。
一般的には、奨学金機構や街金・学生ローンなどはあまり応じてくれないと言われています。
取引実績が豊富な弁護士事務所なら、大体どれくらい減額出来そうかという目安も分かるでしょうから、しっかり相談した上で手続きに移りましょう。
稀に、任意整理をしようとすると「貸金返還請求訴訟」という裁判を起こす貸金業者などもいますが、この辺りは弁護士事務所の方に確認しましょう。
どういった業者が裁判を起こしやすいか というのをよくご存じだと思います。
任意整理をする場合は、
①弁護士事務所など専門家に相談・依頼する
②債権者に借金返済を一時ストップさせてもらう
③専門家から債権者に受任通知を送付する
④専門家へ任意整理の費用を支払う
⑤専門家と債権者が交渉を行い、借金額を決定する
⑥交渉が成立したら、減額された借金の返済を再開する
このような手続きになります。
②は、残りの借金総額を確定するための処理です。
返済が続いている状態だと借金総額が常に変わるので、一旦ストップして確定させます。
何だか大変そうに思えますが、私たちが行うのは①・④・⑥の3つだけです。
難しい手続きは全て専門家にお任せ出来るので、ややこしい書類を書いたりといった面倒な手続きは不要です。
ここまでメリットやデメリット・減額例についてまとめてきましたが、いかがでしょうか。
最初に書いた通り、任意整理は弁護士など専門家と債権者の交渉ですから、必ず上手く行くわけではありません。
実績が少ない弁護士事務所を選んでしまうと、全く減額してくれない債権者相手に交渉をしたり、見込みよりも減額出来ないケースもあります。
その為、実際に依頼する弁護士事務所は金額だけじゃなく実績も考慮して探しましょう。
相談料や流れについては<こちらの記事>にまとめています。
このサイトは、借金500万円を抱え2017年に債務整理を行った私が、債務整理の体験談や種類・メリットデメリットについて詳しくまとめています。
個人再生のおかげで、借金総額500万円は100万円になりました。そのおかげで、今の生活は何とか快適に送れています。
借金が膨らんで生活が苦しくなってきたら、自力で何とかしようとするよりもまず専門家を頼りましょう。
債務整理をしている人はたくさんいますし弁護士費用以上に借金が減りますから、思っているよりもハードルは低い手続きです。
続きはこちら。
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